(やや青みがかった美しい白磁の土瓶とウォールナット濃茶のコントラストでシックな印象の作品)
千葉県館山市ご出身で、自分と同じ
南房総市在住の陶芸家 志村 和晃さんより「土瓶の把手を木で作れないか?」と昨年末、ご依頼をいただいておりました。
なかなか、「答え」が見つからず半年いろいろと頭の中で考えながら試行錯誤し、この度、形にする事が出来ました。
この様な楽しくものづくりをする機会をいただけてとても嬉しいです。
ありがとうございます。
2019年7月14日〜7月21日まで
吉祥寺のMARKUSマルクスさんにて
志村 和晃 展を開催、展示販売をしております。
自分が関わらせて頂いた作品が都内の素敵な店舗さまで展示販売していただける事、大変光栄に思います。
重ねて、ありがとうございます。
よく見ると、陶器の取り付け部の丸みにフィットする様に木の端が小さく窪んでいます。
陶器と木は牛本革で留めてあります。
持ち手だけでなく、同じカーブで、同じ板から卵形のソーサーを製作しました。
(写真はブラックウォールナット濃茶、天然色、木固め塗料+撥水塗料+蜜蝋艶出し。見た目だけでなく、ザラつき無く滑らかな手触りを追求しました。)
把手と同じ板から削り出しているので、木目や色味が繋がり一体感があります。
こちらは鳥と植物がとても可愛らしい作品。
(チェリー赤茶、天然色)
他にもメープル白、天然色の把手を製作させていただきました。
試行錯誤の経緯。
なるほど、やってみて木の持ち手が少ない理由がわかりました。
難しかったのは
端材がたくさん出る事。
最初、端材を減らそうと三分割を考えたのですが、強度が出ず。
心折れそうな時に、コロンブスの卵的な発想で机の上にあった革紐に目が止まりました。
そして、カーブが同じソーサーの発想に辿り着きました。
誰も作れない、または手間がかかって作ろうと思わないものを作ろうとする事は大変なことかもしれませんが、それ以上に楽しく価値があるものだと思います。
強度が出る様に45°傾けての切削。
(自動切削加工)
木目が斜めになると細くなっていく端が折れにくくなります。
陶器にフィットするくぼみ加工。
美しいカーブの設計デザイン微調整。
陶器は一つ一つが微妙に大きさが異なります。それぞれにジャストフィットできる様にmm単位で自動切削加工プログラムを設計しました。
単なる楽をするための自動切削ではなく、人の手では制御できない精巧なうちならではのデジタルの使い方です。
あくまでもデジタルは裏方。
仕上げは手磨き、手削りで表にデジタルが出る事はありません。
でも、人の手では作りきれない部分はデジタルの几帳面さを活かして、他にはないものをつくる。
コラボレーションの時は決して雰囲気を壊す様なものは作らない。相乗効果を発揮し引き立て役になれる様なものをつくる。
これが、うちのこだわりです。
お蔵入りになった第1案。
でも、この継手は人の手ではできない細かなもの。
他の商品を考える時に活かしていきたいと思います。
最初はハリガネであらかた寸法を決めます。デジタルは使いますが、作業としてはアナログなんです。
今回本当にいろいろなことを経験として積み重ねる事が出来ました。
本当にありがとうございます。
今後またいろいろなものをご提案できたらと思います。
今後ともよろしくお願いします。
室長